宮崎県椎葉村尾前地区に伝わる尾前神楽の唱教には、榊を用いて御幣の紙を染める技法が唄われている。しかし現在、この技法は実施されておらず、唱教の一節と椎葉民俗芸能博物館に収蔵された記録映像に残るのみである。本研究では、神楽関係者によって口承されてきた紙染めを、民俗調査と実践により検証・再現した。さらに、榊から抽出される染料とその顔料化の過程を詳細に記録し、伝統的な知恵を後世に残すとともに、顔料化することで絵画、デザイン、工芸など現代の様々な分野で活用できる形を模索した。